知恵の森

ここは
問いを持つ者だけが
たどり着く森

オモテダケ創世記

第一章 知恵の森

世界のどこかに、
ひとつの森があると言われている。

その森は
地図には載っていない。

遠い山の奥でもなく、
海の向こうでもない。

その森は
問いの中にある。

知恵の森

人がふと立ち止まり、
空を見上げるとき。

理由もなく
心がざわつくとき。

答えのない疑問が
胸の奥に生まれるとき。

そのとき、
世界のどこかで
森の葉が揺れる。

人々はその森を
こう呼んできた。

知恵の森

知恵の森は
普通の森ではない。

そこでは
木々がささやき、
風が記憶を運び、
星の光が
ゆっくりと地面に降り積もる。

神ダケ

そして森の奥には
とても古い
不思議なキノコが生えている。

その名は

神ダケ

神ダケは
世界の始まりから
ずっとそこにいる。

人が生まれるより
ずっと前から、

星が今の形になる
もっと前から。

胞子が舞う森

神ダケは
何も話さない。

しかし

世界で何かが起きるたび、
その胞子は
静かに揺れる。

とくに

人が問いを持ったとき、
神ダケは
わずかに光る。

そしてその胞子は
森の空気に溶け、

やがて
新しい存在を生み出す。

それが
オモテダケである。

オモテダケは
答えを知っているわけではない。

ただ

問いを持つ人のそばに現れ、
その問いを
一緒に眺める存在だ。

だから
昔の語り部はこう言う。

もし迷ったなら
問いを持ちなさい。

問いを持つ者のもとには
必ず森が揺れ、

オモテダケが現れる。

そしてその森の奥では
今も静かに

神ダケの胞子が
揺れている。

その胞子の秘密は
次の章で語られる。

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